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三味線はじめました

誰のための授業か

学習者のニーズと教師の想い、マッチしないもんだね、けっこう。

Sが、ここを直したいという言うから、そこがきれいに直るような教案を考えたし、教具をつくってゲーム仕立てにもした。どうかなどうかな、とわくわくしながら臨んだ、今週のボランティアだけど、あえなく撃沈。『先生、これ、初級の人にはとてもいいと思うよ。大事にしてね。』

・・・。

『助詞カルタ』なるものを考えた。述語(ほぼ動詞だけど、一部形容詞も入る)カードをひいて、それを使って分を作るんだけど、目の前にカルタ状に助詞カードが並んでいて、できるだけ多くの助詞カードを使った(取った)方が勝ち、というもの。

ひさしぶりに(学校の初級レベルの模擬授業以来)張り切って、楽しく準備した1週間でした。まずは助詞を文法的に復習してから、教科書の動詞を洗い出し、文法的に、意味的に、どういう助詞を必要とするか、ひとつひとつ確認した上で、練習に良かろうと思われる40個の動詞(正確にはイ形容詞ひとつと、ナ形容詞もひとつ)を選んでカードに仕立て、助詞も色画用紙をひたすら切って、カルタをつくった。

どうやら、述語ひとつだけの文(要するに単文)を作る、というところが納得いかないらしい。たとえば、食事する、という述語カードをひいても、〇〇と〇〇で食事する、の背景には、〇〇から友達が来て、夫と中華街に連れて行って、というようなことがあるわけで、それを全部言おうとするから、ゲームはめちゃくちゃになるわけ。いくら趣旨を説明しても、『だって、本当のこと言わなければ意味がない。』

そうなの。わたしは、その本当のエピソードを最終的に上手く伝えられるようになるための訓練だと思ってるし、彼女はもう10年以上も日本で生活してるわけだから、やっぱりやってらんないのよね、そんなこと。

彼女が、どんなスタイルを望んでいるか、なんとなくわかっているつもり。それで本当に上達するのかと疑問に思うところもあるんだけど、肝に銘じなければいけないのは、教師のための授業ではなく、学習者のための授業であるということ。たとえ、自分の想うところと180°反対であったとしても、そこに合わせて最前を尽くすことで、自分の幅も広がるのであろう。ましては初心者なのだから、いろいろやってみるのは必須だし。

ちなみに、夜の回でも、助詞カルタやってみたけど。彼女は楽しんでやってくれたが、結局わたしが負けるという、見事な助詞使いでした。しばらくお蔵入りだな、この教具。

収穫は(というか、ここまで書いてきたことが大きな収穫だけど)、このボランティアの勉強会に初めて参加しまして、導入の例文がどんなに重要であるか、非常に勉強になりました。たとえば『欲しい』の導入で、どんな例文を提示するか。『お金が欲しい』、それって、もし今全財産が10円しかなくて、明日家賃を払わなきゃいけないから『お金が欲しい』、という状況だとすると、それは『必要だ』と混同しますよね。日本語では、欲しいで色々こなせちゃうけど、決して欲しい=必要だ、ではない。

という話。これは直説法だから起こりうること。そこまで考えたことなかった。はっとしました。



by chiezo-h | 2013-07-16 20:57 | ボランティア

日本語教師としてモロッコ赴任をもくろむ30代の日記
by ちえこ
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